スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

なつへの扉【10】(終)

なつへの扉【10】(終)


 その数ヶ月後。
 僕と琴子は結婚した。
 ベタベタな教会での結婚式で。
 お約束のライスシャワーなんか受けてしまうような。
 そして、教会を後にしようとしたとき。
 扉を開けて、階段を下りていこうとしたとき。
 ライスシャワーの合間から、人影が遠くに見えた。
 それは白いワンピースを着て。
 長い黒髪を風に揺らしながら、目を細めて笑っていた。
 傍らには、ピート。
 ああ、そうか。
 彼女は、僕のこの瞬間を見に来てくれたんだ。
 散歩から帰ってきたあの日、小さかった僕にやたらと頬を赤くしてまで結婚のことを話していたのは。
 公園に訪れた今の僕を見て、僕と分かってくれたのは。
 僕のこと、ずっと見ていてくれたんだ。
 遠くにいる彼女は、目元を軽く拭うと、一層目を細めて、小さく手を振る。
 声を出さずに、口を動かす。
 あ・い・し・て・る。
 お・め・で・と・う。
 それは、恋人への言葉じゃないけれど。
 知っている。分かっている。
 それは、何物にも変えられない、肉親への言葉で。
 嬉しくて嬉しくて。
 僕は、あなたの甥として生まれてこれて、良かったと思う。
 ありがとう。
 僕の大好きな、流美姉ちゃん――。


〈了〉
関連記事
スポンサーサイト

テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

ご訪問ありがとうございます!
プロフィール
気ままに更新してます。 気にいっていただけるものがあったならこれ幸いです。

三日月幻夜

Author:三日月幻夜
よく「雰囲気大分違うけど、同じ人が書いたの?」って言われます。
色々あるので見てってください。

最新記事
最新コメント
カテゴリ(ツリーが開きます)
検索フォーム
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

RSSリンクの表示
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。